クリニック集客が難しい理由とは?今起きている構造変化と対策

筆者:澤村 亮/Link Reha

最近、「クリニック集客が難しい」と感じていませんか?
広告を出しても反応が鈍く、これまで通りの方法が通用しなくなったと感じている院長や事務長の方も多いはずです。本記事では、今なぜクリニック集客が難しくなっているのかを、外部環境の変化という視点から整理します。

目次

なぜ今、クリニック集客が難しいのか

近年、クリニック集客が難しいと感じられる背景には、人口動態や競争環境、患者の情報収集行動といった外部環境の変化があります。個々のクリニックの問題ではなく、集客の前提条件そのものが変わりつつあることが、現在の難しさの本質です。

集客が「急に落ちた」と感じやすい背景

実際には徐々に変化していたが、表面化したタイミング

「ここ1〜2年で急に集客が厳しくなった」 多くの院長・管理者の方がそう感じていますが、実際には変化は突然起きたものではありません。人口動態、競争環境、情報取得手段の変化は少しずつ進行しており、ある時点で「体感できるレベル」に達したというのが実情です。

外来患者数やリハビリ枠の埋まり方など、日々の数値で変化が見え始めたことで、「急に」という印象が強まっています。

「今まで通り」が通用しなくなった理由

立地条件、紹介関係、最低限のWEB対策 これまで一定の成果を上げてきた施策は、環境が安定していた時代には十分に機能していました。しかし前提条件そのものが変わった現在では、「今まで通り」であること自体がリスクになる場面が増えています。

これは施策が悪いのではなく、前提となる構造が変わったことへの適応が追いついていない状態です。

院内努力とは無関係に起きている外部環境の変化

重要なのは、この集客の難化が、スタッフや現場の努力不足によって起きているわけではないという点です。診療の質や対応が維持・向上していても、外部環境の変化だけで結果が変わることは十分に起こり得ます。

まずは「個人の問題ではなく、構造の問題」であることを整理する必要があります。

人口動態の変化が与えている影響

人口動態の図

【図1】 出典 :「我が国の生産年齢人口の推移と将来推計」(厚生労働省)第2-(1)-1図 我が国の生産年齢人口の推移と将来推計|令和4年版 労働経済の分析 -労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題-(本文) |厚生労働省をもとにLinkRehaが作成

地域人口の減少と高齢化による母数そのものの縮小

多くの地域で、人口減少と高齢化が同時進行しています。これは単に「患者が減る」という話ではなく、外来医療を安定的に利用する層そのものが縮小していることを意味します。

特に外来リハビリは、2025年前後をピークとして、今後は通所系・介護系サービスへ比重が移っていくと見られています。これは医療機関の努力では覆しにくい、社会全体の流れです。

働き世代・若年層の減少が外来数に与える影響

年齢3区分別人口構成の変化
【図2】年齢3区分別人口構成の変化(2020年・2025年・2050年比較)
出典:総務省統計局「人口推計(令和7年8月確定値)
厚生労働省「将来推計人口(令和5年推計)の概要

※2025年8月時点:15歳未満人口は1,353万人(▲36万人、▲2.61%)、15-64歳人口は7,353万人(▲21万人、▲0.29%)と減少。外来医療を支える現役世代が構造的に減少しています。

働き世代や若年層は、通院頻度や通院時間に制約がある一方で、外来医療の重要な利用者層でもあります。この層の減少により、平日日中の外来数やリハビリ稼働率に影響が出やすくなっています。

「来られる人が減っている」という視点も必要です。

「患者が減った」のではなく「構造的に減っている」状態

この状況を「自院の人気が落ちた」と捉えると、誤った対策に進みやすくなります。実際には、地域全体で母数が減り、その中で競争が起きている状態です。

まずはこの構造を正しく認識することが、次の判断につながります。

競争環境の変化と”比較される医療”への移行

医療施設数の推移
【図3】医療施設数の推移(病院・一般診療所別、2000年~2024年)
出典:厚生労働省「令和6(2024)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況

※2024年時点:病院8,060施設(前年比▲62施設)、一般診療所105,207施設(前年比+313施設)。人口が減少する一方で、診療所数は横ばい~微増傾向にあり、地域によっては「患者の奪い合い」が発生しています。

クリニック数の増加と診療内容の横並び化

地域によっては、人口が減少する一方で医療機関数は大きく減っていない、あるいは増えているケースも見られます。その結果、診療内容や設備が似通い、「どこも同じに見える」状態が生まれています。

患者が無意識に行っている比較行動の変化

患者さん自身は強く意識していなくても、複数の医療機関を比較する行動が当たり前になっています。これは特別な行動ではなく、スマートフォンを使った日常的な情報取得の延長線上にあります。

立地や診療時間だけでは選ばれにくくなった理由

一般診療所の開設数と廃業数の推移
【図4】一般診療所の開設数と廃業数の推移(2018年~2023年)
出典:厚生労働省「医療施設調査
日本医事新報社「一般診療所の開業と廃業についての統計的考察

※令和4年度:開設7,847件、廃業6,697件。令和5年度:開設5,392件(前年比▲31%)と新規開業数が大幅減少。一方で廃業数は約5,000件弱と高止まりし、競争環境の厳しさを示しています。

かつては立地や診療時間が大きな差別化要因でしたが、現在はそれだけでは決定打になりません。情報が事前に共有される時代では、「何を大切にしているクリニックなのか」が伝わらなければ、選択理由にならないのです。

広告・WEB施策が効きにくくなっている構造

医療広告ガイドラインの主要制限事項
【図5】医療広告ガイドラインの主要制限事項
出典:厚生労働省「医療広告ガイドライン

※医療法第6条の5に基づき、患者保護の観点から広告表現が厳格に制限されています。これにより、他院との差別化を図る表現が構造的に難しくなっています。限定解除要件(院内掲示・問い合わせ対応など)を満たせば一部表現可能ですが、WEB上での訴求力は相対的に低下しています。

広告出稿量の増加による費用対効果の低下

多くの業界で広告出稿量が増え、相対的に一つひとつの広告の効果は下がりやすくなっています。医療分野も例外ではなく、同じ予算でも以前ほどの反応が得られないケースが増えています。

SEO・MEOだけでは差が出にくくなった背景

SEOやMEOは今も重要ですが、それだけで明確な差を出すことは難しくなっています。情報量が増え、検索結果や地図上でも「横並び」が起きやすくなっているためです。

医療広告ガイドラインによる表現制限の影響

医療広告ガイドラインにより表現できる内容が制限されていることも、差別化を難しくする一因です。過度な表現ができない分、構造的に伝え方を整理する必要があります。

検索行動・情報取得の変化

検索結果を見る前に判断が始まっている現状

現在の検索行動では、検索結果を開く前に、表示された情報だけである程度の判断が行われています。タイトル、要約、地図情報などが第一印象を左右します。

「HPを見る前」に決まっている患者行動

患者の医療機関選択における情報源
【図6】患者の医療機関選択における情報源(2025年調査)
出典:日本医療政策機構「医療アクセス実態調査2025
PR TIMES「日本人の7割が『適切な医療行動』に迷い
GYRO-N「病院・クリニックの探し方・選び方に関する調査レポート

※2025年調査では、約70%の患者がインターネット検索を主要情報源として活用。年代を問わずオンラインで能動的に情報収集・比較を行い、口コミを含む総合的な評価を参考にクリニックを選択しています。また、約80%が「次の行動に困難を感じる」と回答し、情報過多による混乱も課題となっています。

ホームページは重要ですが、そこに到達する前に選択がほぼ決まっているケースも少なくありません。HPは「最後の確認」になっていることが多いのです。

AI検索・要約表示が与える影響の整理

今後はAIによる要約や回答が、患者さんの意思決定に関わる場面が増えていきます。情報がどのように整理・理解されるかという視点が、これまで以上に重要になります。

集客が難しくなったときに起きやすい誤解

スタッフや現場の努力不足と捉えてしまうリスク

数値が落ちると、院内の努力不足に目が向きがちですが、これは現場の疲弊を招く考え方です。構造の問題を個人に置き換えないことが重要です。

単発施策を増やしてしまう構造的な落とし穴

「何かしなければ」という焦りから単発の施策を増やすと、全体像が見えにくくなります。結果として効果検証が難しくなるケースも少なくありません。

本質的な課題が見えにくくなる理由

部分的な対策に追われると、本来整理すべき構造的な課題が後回しになりがちです。一度立ち止まって、全体を俯瞰する視点が求められます。

これから求められる「集客の考え方」の整理

患者の医療機関選択プロセス
【図7】患者の医療機関選択プロセス(行動フロー図)
出典:GYRO-N「病院・クリニックの探し方・選び方に関する調査レポート

※現在の患者は、検索結果ページで表示されるタイトル・口コミ評価・地図情報・診療時間などの「ファーストビュー情報」だけで候補を2-3院に絞り込んでいます。ホームページは「最終確認」の位置づけであり、HP到達前の段階で選択の大半が決まっている実態が明らかになっています。

集客を「施策」ではなく「設計」として捉える視点

これからの集客は、個別施策の積み重ねではなく、全体の設計として捉えることが重要です。診療内容、導線、情報発信は切り離せません。

集客アプローチの比較
【図8】集客アプローチの比較(施策型 vs 設計型)
出典:Link Reha「クリニック集客の考え方の転換

※従来の「施策型」では、個別の対策を積み重ねるため全体最適が難しく、効果検証も困難でした。「設計型」では、患者の行動プロセス全体を見据えた一体設計により、各要素が相互に補強し合う構造を作ります。これにより、現場負担を抑えながら持続可能な集客が実現します。

診療内容・導線・情報発信の一体設計

集客設計の全体像フレームワーク
【図9】集客設計の全体像フレームワーク(三角形モデル)
出典:Link Reha「クリニック集客の構造設計

※集客を「個別施策の積み重ね」ではなく「全体設計」として捉えることが重要です。診療内容(何を提供するか)、患者導線(どう来院・受診してもらうか)、情報発信(どう伝えるか)の3要素を一体として設計することで、無理なく継続可能な集客構造が実現します。

患者さんがどのように情報を知り、どう判断し、来院に至るのか。その流れ全体を一体として設計することが、無理のない集客につながります。

無理なく続く形での集客構造の考え方

短期的な成果を追うよりも、継続可能な形を整えることが、結果的に安定につながります。これは現場の負担軽減にも直結します。

院長・管理者が最初に整理すべきポイント

いまの集客構造を把握するための視点

まずは、自院がどの構造の中に置かれているのかを把握することが出発点です。良し悪しの判断ではなく、現状整理が目的です。

すぐに変えなくてよい部分、見直すべき部分

すべてを変える必要はありません。維持すべき部分と、見直す余地がある部分を分けて考えることが重要です。

中長期で考える集客と運営の関係性

集客は運営と切り離せない要素です。中長期の視点で、診療・人材・情報発信の関係性を整理していくことが、今後の安定につながります。

まとめ

クリニック集客が難しくなっている背景には、個別の問題ではなく、複数の構造変化が重なっています。まずは「なぜ起きているのか」を整理することが、次の一手を考えるための土台になります。


本記事でお伝えした考え方は、日々の現場支援や情報発信を通じて大切にしている視点の一つです。
リハビリ部門の運営や、医療分野におけるWEBの考え方については、今後も少しずつ整理しながら発信していく予定です。

次の一手を考える方へ

クリニック集客の構造変化を踏まえると、
対策は「WEB」だけでも「現場」だけでも不十分なことがあります。

自院の課題がどこにあるのか整理した上で、
適切な一手を選ぶことが重要です。


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この記事を書いた人

sawamuraのアバター sawamura 代表取締役

株式会社Link Reha 代表|理学療法士・医療専門コンサルタント
理学療法士として23年以上、整形外科を中心に臨床・リハビリ運営に従事。無床診療所を主軸に、リハビリ部門の立ち上げ・運営改善と、医療広告に配慮したWEBマーケティングを一体で支援しています。

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